Ubuntuを使うかどうかは個人の好みでしかないと思うのだが、なかにはUbuntuに乗り換えたいけれどWindowsから離れられないため断念する人や、乗り換えた後でもWindowsを併用しなければならない人もいる。私にしても以前にはデュアルブートで、その後はVirtual Box上で、たまにWindowsを走らせる。Windowsでなければできない用事が、ほんのわずかではあっても残っているからだ。
私の場合、そのほとんどがMS Wordである。仕事柄Word文書をもらうことが多い。実際の処理はOpenOfficeでまったく問題ないのだが(互換性は私がOpenOfficeを使い始めた4年前やUbutnuを使い始めた3年前と比べて格段に上がっている)、最後の請求書を書く段になって、計算の基準をクライアントと揃えるため、クライアントの使うMS Wordのワードカウント機能を使わなければならなくなる場合が出てくる。非常にスペシフィックなケースだが、ほとんどこれ以外にWindowsを使うことはない(あとはIE対応のDirect Xをインストールしなければ進められない仕事を頼まれた案件が1回あったきりだが、これは特殊ケース)ので、ここだけ越えられればWindowsと100%縁が切れるのにと残念でならない。
MS OfficeをUbuntu上で実行するには、上記のVirtual Boxの他、Wineを使う方法がある。Wineを使った場合、Office 2000ならインストールはできるが、起動後の認証でうまくいかないようだ。それでも既存文書のワードカウント機能は使えるので以前はそれでごまかしていたときもあったが、Ubuntuのアップグレードに伴っていつの間にか使えなくなった。いちからやりなおしたら使えるのかもしれないが、それも面倒ということでその後は試していない。
もっとマシな方法がないかなあと思っていたら、先日、ThinAppを利用すればどんなバージョンのOfficeでもプラットフォームを問わずに立ち上げることができるという話を聞いた。ThinAppというのは、仮想環境のVMwareが販売しているWindows用の仮想化アプリケーションで、アプリケーションごとに仮想化パッケージをつくるのだという。こういうことに素人の私が下手なことを説明するよりは、このあたりを見ていただいた方が話が早い。パッケージ化したアプリケーションは、ホストOSとは独立して作動する。だから、たとえばWindows Vista上でOffice 98と2000と2007を同時に起動することも可能だという話。
そして、このパッケージ化されたアプリケーションが、Ubuntu上でも動作するらしいという話なのだ。これはどこかのブログで見たのだけれど、そのときはあまり深くも考えずに読み流してしまった。あとでもう一度確認しようと思って探したけれど、見つけられなかった。だから非常に不確かな情報で、私の読み違いである可能性もある。記憶では、Ubuntu(というかLinux Mint)上でPowerPoint 2003が動作したというような話だったと思うのだが、さて真相はヤブの中。その場合でも、Wineは必要なようだった。つまり、ThinAppでパッケージ化したOfficeは、ひとつのWindows上のexeアプリケーションとして扱われる。このアプリケーションがWine上で作動するということらしい。
Ubuntu上で動作するMS Officeがあるのなら、多少のお金は払ってもいいと思う。必要ならば有償のソフトを買うのは業務上やむを得ない。ところが、もし仮にThinAppでMS Officeをインストールできるとしても、それを実行するためにはThinAppとMS Officeの両方を購入しなければならない。MS Officeが高いのは仕方ないとして、このThinApp、5,000ドル(1ドル100円として50万円?)もする。どうやら個人で買うためのものではないらしく、企業で大規模に導入するもののようだ。いくらなんでもそんなものを買ってまでMS Officeを使いたいとは思わない。
なんでもThinAppは試用版がダウンロードできるらしく、これでパッケージ化を試してみることはできそうだ。けれど、そうやってつくったパッケージは、使用期限が過ぎると使えなくなるらしい。それはそうだろう。だいいち、その実験をするためにもMS Officeのライセンスは必要なわけで、ちょっとそんな贅沢はできないなあと思う。
いちばんいいのはThinAppでパッケージ化したMS OfficeをMicrosoftが販売してくれることだと思うのだけれど、100%その可能性はない。ということで、役に立ちそうな情報は結局役に立ちませんでしたというお話。