さて、話を戻してInspiron mini 12(裏面にはなぜかInspiron 1210と書いてある)が私のところにやってきた日のことからはじめよう。もともと私は(この3年のUbuntu生活のおかげで)Ubuntu以外を使うつもりはさらさらなかった。ただ、デフォルトのVistaも、最初のうちぐらいはデュアルブートで残しておこうかと思っていた。ところが、起動すると、これが遅い。まず立ち上がりがほとんど新規インストールしてるんじゃないかというぐらいに遅い。ようやく立ち上がってからも、「もっさり」なんてものじゃなく重い。

正直これは意外だった。というのは、このInspiron mini 12を買おうと思った要因のひとつに、近くの電気屋に展示してあるのを触って「あ、これなら使えるじゃない」と思ったからというのがあるからだ。それはVistaマシンで、UIはまるでWindowsっぽくなかった。動きも案外スムーズだった。あれは幻か?

あとになって思ったのは、Vistaの初回起動では大量の更新ファイルがダウンロードされるため遅かったのではないかという可能性だ。だとしたらちょっとVistaには悪いことをしたが、ともかくも、「こんな遅いんじゃ冗談でも使えない」と思って、速攻でUbuntuを入れようと思った。CDドライブがついていない機種なので、ネットワークインストールをしようとUNetbootinをインストール。

さて、UNetbootinでは各種のLInuxディストリビューションがインストールできる。一覧にないものも、CDイメージをダウンロードすればOK。そこでDell版のisoイメージをダウンロードしてスタートしたのだが、これが途中で止まってしまった。それならばとUbuntuの通常版をネットワークでやってみようとするが、これもダメ。ついでにMintもダメ。いまにして思えばこれは8.04ライブCD特有のInspirono mini 12における不具合だったのではないかと推測するのだが、このときはUNetbootinのエラーだと思った。つまり、Inspiron mini 12とUNetbootinの相性が悪いのだと思ったのだが、実際はどうだかわからない。ともかくも、そこで、旧マシンでUSBのインストールディスクをつくってやりそちらから起動。ちなみに、Ubuntu 9.04には「USBスタートアップ・ディスクの作成」というアプリケーションがシステム管理にはいっているので、以前試したのとは比べ物にならないぐらい簡単に準備ができる。これでDell版の8.10を、今度は試してみた。

ところが、最初の起動したときのダイアログが、Dell版は通常版とちがう。通常版は「ハードディスクに変更を加えずに使ってみる」がデフォルトなのに、Dell版は全ディスクのリストアがデフォルト。ということはそっちの方がいいんだろうとそっちを選択したのがいけなかった(まずはCDやUSBドライブからUbuntuを起動してそこからインストールする方がDellの場合でもトラブルがないらしい)。3時間近い時間をかけてインストールがやっと終了した挙句、起動するとデスクトップ環境の起動あたりのタイミングでにっちもさっちも進まなくなる。リカバリモードとかを試せばどうにかなるかもしれないとは思ったが、素人がぐちゃぐちゃやるよりも再インストールが早いと、また別のディスクを作成。

ところが、これがうまくいかない。この時点で解像度の問題を聞いていたので、とりあえずは8.04を入れようとするのだが、どうにも起動しない。そこであきらめて、9.04のNetbook Remixをインストールしたら、今度はすんなりと進んだ(ただ、ときどき進行が止まってしまうようだ。どうもこのシステム、ひょっとしたらAtomのz系列の性質なのかもしれないが、しばらく自動でスクリプトが進むようなケースで眠ってしまう性質があるらしい。叩き起こしながら進めなければいけなかった)。

すると、Ubuntu Netbook Remix(UNR)なら非常に順調に稼働してくれるということがわかった。ただ、9.04はpsbドライバがないということで、ディスプレイに不具合が残る(解像度が合わない、動作がもたつく)。また、UNRのデフォルトのUIは簡単にクラシックのUIに戻せるのだが、このあたりで手探りになって少し時間を食う。

そこでさらに再インストールを試みる。今度はViva Ubuntuさん(いつもお世話になってます)で紹介されていたUbuntu Mobile Editionでいこうと思ったわけだ。素直にViva Ubuntuさんの記事からたどればよかったのだが、Ubuntuのページから行ってみると、Mobile TeamのページIntelのMoblinのページにリンクが貼ってある。どちらにもディスクイメージがあるので、まずMoblinの方から試すが、こちらはブートできない。インテルさん、しっかりしておくれといいたくなる。

結局はMobile Teamの

mid-8.04.1-menlow-install-usb.img

を使うのが正しいようだ。このディスクイメージをUSBに焼くにはImage Writerをsynapticからインストールする必要がある。これの使用でまた一悶着あった。けっきょくはディスクイメージを置いたパーティションに問題があったようで、自分のHomeフォルダに置けば何の問題もなかった。ちょっとディスク容量が足りなかったので…。リンクを張って解決。

ともかくも、このUbuntu Mobile Edition (UME)、インストールは通常とちがってディスク全体に強制的にインストールされる。それも、USBディスクと同じ容量のパーティションができその後ろに通常のルートのパーティションができるというちょっとよくわからないディスク構成ができあがる。このあたり、単純にインストールするだけならいいのだが、使いまわす上では要注意のように思う。

さて、このUMEだが、確かに解像度はOKだし、起動も早い。なんと終了のデフォルトはハイバネートになっていて、その分だけ再起動も早い。早いということでいえばこれを使うのがいちばんだろう。私も、このまま使いつづけようと思った。

ところが、だんだんと問題が見えてきた。まず、デフォルトのUIがあまりにモバイル向けなのを、通常のUIに変更したい。これはデスクトップ環境からちがっているので、GnomeかXfceをインストールする必要がある。ところが、これらをインストールしても、デフォルトのデスクトップ環境から抜けることができない。なぜなら、ログアウトすると、すぐに自動スクリプトが働いてデフォルトのデスクトップ環境に自動ログインしてしまうからだ。通常、Ubuntuのログインはgdmというプログラムが管理している。UMEではデフォルトでgdmは採用されておらず、ログインのスクリプトになっているらしい。だからデスクトップ環境の選択をするダイアログが出せないわけだ。

本来は、ここでUMEのデフォルトデスクトップ環境を削除してやるべきだったようだ。けれど私は別の戦略をとった。gdmをインストールしたあと、新規ユーザーをつくってそちらに管理者権限を譲り、デフォルトユーザーであるumeを削除したのだ。ここから不具合の嵐が襲ってきた。

どうやらumeは削除してはいけない。たぶん、多数のスクリプトがumeの存在を前提につくられているからだ。そしてひょっとしたらumeのパスワード(デフォルトではパスワードは指定されていない。これは「パスワードはubuntu」という誤った情報が記載されているので注意)も設定してはいけないのかもしれない(このあたり、自分がやった手順のどこがいけなかったのかが不明なので確実なことはいえない)。umeのパスワードだからsakuraなんて指定してやったのだが、パソコンに冗談は通じないようだ。

ともかく、ユーザーumeを削除後、なんとかxfceやgnomeにログインはできるようになった。けれど、どうも環境がちがいすぎる。通常のUbuntuとは入っているパッケージがあまりにちがうわけだ。そこで(やたらと時間を食う作業になってしまったのだが)、旧マシン(8.04で起動)と新マシンのSynapticを並べて開き、入っているパッケージをすべて揃えるという戦術に出た。同じUbuntuだから、パッケージが揃えば同じ環境ができるはずだと思ったわけだ(大量のlibだけは見なかった。これは必要なものは勝手に入るだろうから)。この作業の収穫としてUMEのデスクトップ環境の削除やらうっとうしい「なんでもかんでも最大化するユーティリティ」の削除が行えたのはよかったが、さて、こうやって環境が整ったはずなのに、使い始めるともたつくこと、おそいこと。

理由はわからない。最初に推測したのは、やはりユーザーume関係のことだろうかということ。umeを削除したのが後々まで響いているのかもしれない。自動ログインだけでなくumeには多数のスクリプトが仕込まれていたような気がする。それが行き場を失って空回りしているのではなかろうか。それらを無効化しない限り、不具合は治らないのではないかと推測した。もちろん根拠のない憶測である。

もうひとつ、のちになって思ったのは(こっちのほうが当たっているかもしれない)、UMEのベースになっているLpiaと通常版の8.04の違いだ。lpiaに整合しないパッケージを大量にインストールしてしまったために不具合が起こってしまったのかもしれない。

理由はわからないけれど、本来のUMEとはかけ離れたもっさりと反応の遅いシステムができあがってしまった。このまま使いつづけるわけにはいかない。UMEを再インストールするかとも思ったが、カスタマイズの過程で同じようなトラブルが発生しないとも限らない。いい加減疲れ果ててしまった私は、それまでで最も調子のよかった9.04を再インストールすることにしたわけだ。

とまあ、長い話はこういう顛末なのだが、ひとつ加えておくと、9.04をインストールする再、なぜか9.04のインストーラーはUMEを認識しなかった。通常なら、先にインストールされているOSがあればそれを認識して、設定読み込みやデュアルブートの対象にする。ところがUMEはその対象にならなかった。だから(しばらくデュアルブートで様子を見ようと思ったのだけれど)UMEとUNRのデュアルブート環境は実現しなかった。そういう意味でも、UMEはかなり特殊なものであるのかもしれない。

UMEは、少なくともデフォルトユーザーで使いつづける限りはたぶんそれほど大きな不具合はでないのだろうと思う。ひとつの選択肢としてあってもいいとは思う。けれど、私は断じてumeさんではない。やっぱり自分の名前でログインしたいよなあと思う。

それにしてもLow Power Intel Architecture(lpia)というのは案外と曲者だ。この話を、できれば次回にしたいと思っている。