滅多にないことではあるけれど、Ubuntuを使っていて、アプリケーションの挙動がどうにもおかしいと感じることがある。メニューの表示が乱れたり、アイコンがおかしいような気がすることがある。レスポンスが遅かったり、処理にやたらと時間がかかったりすることがある。
Windowsでこんな事態が発生したら、真っ先に頭に浮かぶのはウィルス感染だ。なにか変なものにやられたのではないだろうか。そして、本当にそうだとしたら、もっとも有効な対策はWindowsの再インストール。だから、Ubuntuでも、多くの人が再インストールをする。幸いUbuntuの再インストールは手間も時間もそれほどかからないからいいようなものだが、実際にはその必要がない場合の方が多い。
Ubuntuでは、システムの基本部分とユーザーの部分がかなりはっきりと区別されている。ユーザーの部分ではユーザーはファイルを自由に改変できるが、システム部分は管理者権限がなければ変更できない。だから、やたらと管理者権限でコマンドを打ちまくるようなハイレベルの使い方をしない通常のユーザーが使っていてる分には、システム部分が変わってしまう危険性が非常に小さい。つまり、システムをそっくり入れ直す再インストールが必要になる可能性は、極めて小さいわけだ。
だから、通常のユーザーの通常の使用で挙動がおかしくなったら、それはユーザーの領域内だけで発生しているトラブルだと考えていい。ユーザーの領域とはつまりファイルシステムのhome内のユーザー名のついたフォルダ内部のこと。この内部でトラブルが起こっているだけで、多くの場合はそこを越えるものではない。致命的なものではないのである。
そして、そのトラブルの多くは、設定ファイルがおかしくなってしまったことに起因している。だから設定ファイルを修正すれば、これらの問題は解決する。ところが、これが多くのユーザーには簡単ではない。上級者にとっては単純にxmlファイルを変更するだけで苦もないことだが、初心者にはまず、そのファイルの位置がわからない。ファイルを見つけても、それをどう変更すればいいのかわからない。
初心者でもできる方法は、ないことはない。思い切って設定ファイルを捨てることだ。多くの設定ファイルの雛形はシステム部分に保管されており、ユーザーのフォルダ内に設定ファイルが見つからない場合、アプリケーションはそれを参照して初期設定の設定ファイルを作り直す。設定ファイルを捨てて再起動すれば、多くのトラブルは解決する。
だが、この方法はリスクを伴う。設定ファイルを捨てることで一時的にでもGUIが操作不能になる場合がある。設定ファイルの中には復元が難しい重要なデータが含まれている場合がある。これらは隠しフォルダとなっているので、バックアップをとったときに紛失しやすいなど、初心者にあまり優しくない方法だ。
そこで、簡単にユーザーの環境を初期設定に戻す便利なツール、Ubuntu Desktop Cleanerの登場ということになる。これを使えば、わかりやすいGUIで、初心者でも簡単にUbuntuをインストール直後の状態に戻すことができる。「再インストールしなければ」と思ったら、まずこれを使ってみるといい。多くのトラブルから手間をかけずに脱出できるはずだ。
実際、私が試用したところでは、ごく短時間にデスクトップ環境の初期化が行えた。アプリの初期設定では文書類は初期化しないようになっているし、自分で初期化しないフォルダを追加することもできる。初期化したフォルダ・ファイルはすべて書庫にバックアップされるので安心だ。これはなかなか使える。
と、紹介記事を書いたのだが、実際にはこのツール、まだ開発中のアルファ版。現段階ではまだまだ初心者の人々に勧めるものというよりは、上級者に試用してほしいところ。ところが、このツールを必要とするのは上級者ではない。ということで、アルファテスターが十分に集まるかどうかが心配。
ここは熟練者、上級者の皆様に、自分の必要性のためではなく、入門者の便宜を考えて、是非ダウンロードをお願いしたい次第。よろしくお願いします。
作者ページはこちら。
おお!UDCの宣伝ありがとうございます!
たしかにこのツール、性質上、なにが起こっても大丈夫なように上級者に試してもらいたいですが、上級者は自分でちゃっちゃと問題をかたづけてしまいますもんね(汗
ツールの動作も環境によるところが大きいので、できるだけいろんな方にテストしていただきたいです。
あと、UDCを作りはじめてからというものアクセス数が急上昇していますw
これも松本さんがこうやって宣伝してくださっているおかげです!ありがとうございます!!
わさびーさん、こちらこそです。アプリケーションができていく現場につきあえるなんて、非IT系の私にとっては滅多にないいい経験をさせてもらっています。
今回このアプリを見ていて、上級者のニーズと初心者のニーズがずれている(そして開発をやるのは多くの場合上級者)というのが、「基本的なアプリは揃ってるんだけど、ちょっと痒いところに手が届かない」っていう感覚を入門者に与えるのかもしれないと思うようになりました。よくコメントをいただくかおりんさんのブログにこんな記事があったのですが、
kaoru-linux.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/dd-a475.html
このddっていうコマンドも、GUIがあれば多分初心者でも使い道があるんじゃないかという気がします。なまじコマンドでも簡単だから、GUIをつくってくれない。でも、その簡単なコマンドに敷居の高さを感じるのが多くの非Linuxユーザーなので。
> 痒いところに手が届かない
まさにそれだと思います。
台所はあるんだけど、調理器具が中華包丁しかない、みたいな。
どんな野菜でも切れないことはないけど、
初心者にはつらいでしょう…
(あんまり例えがよくないですね汗)
ジャガイモの皮むくのに中華包丁の使い方教えられるのがLinuxですから。
> ジャガイモの皮むくのに中華包丁の使い方教えられる
うまい!
「そのほうが早いし、綺麗に仕上がるし、だいいち大量にあるときにはいちいちちまちまやってられないでしょう。最終的には絶対覚えといた方がいいですよ」って、そりゃあプロからいえばそうなんでしょうけどね。
> そりゃあプロからいえばそうなんでしょうけどね。
プロ、しかいないというのが問題なんでしょうね〜
これはプログラマとしての視点から見たときなんですが、やはりLinuxアプリの開発はWindowsよりも難しいと思います。
(ライブラリの説明がなかったり、日本語化されていなかったり。。。)
そういう意味で新しい風というのが入ってきにくいんでしょう。
初心者が「ジャガイモの皮むきたいからピューラーつくってくれ」と言うと、
開発者は「ピューラーなんて手入れが面倒だし、俺もつくるのめんどい。包丁でやれば腕もあがるでしょ?」と言う。
なんかちょっと違う気がするんですよね。。。
> ピューラーなんて手入れが面倒だし、俺もつくるのめんどい。包丁でやれば腕もあがるでしょ?
まあ、程度の問題ではあるんですが。たとえば(料理の話だと)アメリカ人ってやたらと「専用ツール」が好きなんですよね。ピーラーぐらいならともかく、ほとんど食材ごとに専用の調理器具があるんじゃないかって感じで。さすがにそこまでいくと、日本人としては「包丁一本あればいいだろうが」と言いたくなります。
ある程度汎用性があって、それでいて習得に高度な熟練が必要ではなく、そこそこにやってそこそこにうまくいくみたいなのが、非プロにはちょうどいいんですよねえ。