妻がこの春、手持ち式のビデオカメラを買った。買ってすぐにこれは夫婦喧嘩のネタとなり、数ヶ月の不和をもたらした。このあたりの顛末は思い出したくもない。そのせいでこのビデオカメラ、長いこと誰も手を触れることなく放置されていたのだが、ようやくこの夏頃から氷が解けはじめ、妻も私も少しずつ記録を残すようになってきた。得に数日前の息子の運動会では、妻は手が痛くなるほど撮影したようだ。

この動画をいつまでもカメラのHDに置いておいても仕方ないので土曜日の夜、妻は新しいWindows 7の入ったノートパソコンに取り込んでいた。その作業が終わったあたりで、「いい場面を写真に焼いてお友達にあげたいんだけど、静止画にキャプチャーするのはどうしたらいいか知ってる?」と聞いてきた。私はわからないので、「まあ、簡単にできるんじゃない?」といい加減に答えたが、どうやらカメラの付属ソフトでもWindowsのメディアセンターでもできなかったらしい。改めて尋ねられた。

「じゃあ何かソフトをダウンロードしたらできるんじゃない? Ubuntuだったらkdenliveっていうのでたぶんできるけど、Windowsだったら検索しなきゃわからないなあ」と答えたら、妻はさっさと再起動にかかっていた。Vectorあたりで適当なソフトを探すよりもUbuntuでちゃちゃっとSynapticを起動した方が早いと、最近は妻もそんなふうに思うようになったらしい。ことフリーなソフトに関しては、Ubuntuに対する信頼がかなり高くなっているようだ。

ということでkdenliveをインストールしたのだが、先回りして結果を言っておくと、kdenliveでは静止画キャプチャーはできないことがわかった。改めて別なソフトをインストールしたのだが、それは別の話。とりあえずここは、私の思い込みでkdenliveをインストールしたところに話を戻す。

さて、起動するとコーデックの不足を告げられる。ここはクリックするだけで自動インストール。改めてスタートすると、初期設定をいろいろ聞かれる。わけのわからないことをたくさん聞かれるのに、「わからなければ全部でフォルトにしておいたらいいよね」と言いながら、妻はけっこうイライラしてきた。このあたり、親切といえば親切だけど、不親切といえば不親切な設定。「とりあえず使ってみる」みたいなボタンがあってもいいのかもしれない。

さらに、UIが英語。「日本語版はないの?」と言われたので改めてSynapticでKDEの日本語関連パッケージを追加したが、翻訳はなかったらしく、英語のまま。このあたりで妻は「やっぱりUbuntuダメじゃないの」みたいな顔をした。

しかし、Kdenliveにビデオを取り込んだ瞬間から、表情が変わった。直感的に動画を配置したり音声を加えたりエフェクトをかけたりできることがわかると、「おもしろい」と。どんどんいろんなことを試していく。

Kdenliveは私も以前Dell Inspiron 2200のときに使ったことがあったが、けっこう苦労した。YouTubeにアップする短い動画に音声をつけただけなのでたいした使い方ではなかったのだけれどそれでも何度も不正終了したり、思うように動作しなかったりした。明らかにマシンがアンダーパワーだった。ところが妻の新しいノートは、家電量販店向けの普及品モデルとはいえ、デュアルコアでメモリも十分。さくさく動作が進む。これなら楽しくないわけがない。やっぱりある程度のことをしようと思ったらそれなりのハードウェアが必要なのだと、あたりまえのことを再確認した。

結局、静止画キャプチャーという目的は果たせなかったけれど、強力な武器を手にして、妻のUbuntuに対する評価はまた上がったようだ。もちろん、Windowsでも探せばきっと同じような強力なソフトはあっただろうと思う。しかし、Ubuntuを使っている限り、そういうものを探す必要はない。このお気楽さが、たまらなくいいと私は思う。さて、妻はどう思うのだろうか。