某所で秘かに書き続けてきたブログ「あなたがUbuntuを使う100の理由」の主要部分を本にまとめました。本来GPLで無償配布すべき性格の本のような気もしますが、当面は有料販売です。印刷屋にばかり儲けさせるのもちょっとおかしいような気がするので。
詳細はこちらをご覧いただくとして、 こちらではその裏話や補足をいくつか。
まず、本の内容ですが、これはもうひとつの別ブログであるCNetの「ふつうの人の ふつうのLinux」と基本的に同じコンセプトでつくっています。つまりは、少々の誇張や脱落は無視して、初めて触れる人へのわかりやすさとアピールを中心にしました。もちろん、誇張といってもそれは形容上の問題だけで、例えば「使い易い」というのは本当に私が感じていることですから嘘でもなんでもありません。ただ、それを「どの程度使い易い」と読者が感じるだろうかというあたりで、誇張が入ってくる可能性があるというような程度のものです。「コマンドは不要」というのは日常操作においては嘘ではありませんが、どこまでが日常でどこからが非日常なのかは、その人の受け取りかた次第です。そこまでは責任を持てない書き方をしているという点で「少々の誇張」というわけです。ですから、これはあまり問題に思っていません。
むしろこの本に本質的な問題があるとすれば、脱落の方でしょう。最も大きな脱落は、なによりも開発コミュニティへのリスペクトです。この本では「Ubuntuはいいよ」ということは繰り返し、それこそ百回以上も書いているのですが、その裏側にどのような人たちのどのような努力があったかということには全く触れていません。これは非常に不公平なことだろうと思います。
けれど、宣伝物には宣伝物の限界があります。申し訳ないと思いながら、そこは献辞の「この本を全てのGeekとnon-Geek達に捧ぐ」という短い記述に込めさせてもらい、ご勘弁を願いました。そういった話題は長くなるし、また、無知な私が書くべきことでもないと思ったからです。最終的にこのような本がひとりでもUbuntuユーザーを増やすことができれば、それが結果として開発に携わった人々へのささやかな報いになるのではないかと思って、自分にできる範囲にとどめさせてもらったわけです。
とはいいながら、 この本がいくらかでも影響力を持つとは思えません。というのは、外見上はけっこうまともな本に仕上りましたが、これは一般的な意味での出版ではなく、最も近いのは自費出版(いえ、自分では費用も出していないから自費でもありませんね)、数年前からあちこちで見かけるようになったオンデマンド出版だからです。オンデマンド出版では、本はまず売れません。せいぜい数冊がいいところで、ダウンロードまで含めて数十冊売れたらたいしたものでしょう。
じゃあなんでそんな無駄なことをするのかという疑問が当然出てくると思うのですが、これはもう犬が電柱にオシッコをかけるようなものだと思ってください。原稿があると本にまとめたくなるというのは、編集屋の性分ですから。
さて、この本ですが、本文データはOpenOfficeのWriterで組みました。OpenOfficeをレイアウトソフト代わりに使うのはこれで3度目か4度目ですが、ようやくコツが掴めてきました。本格的なレイアウトソフトに比べれば全く低機能なのはしかたないとしても、まあこの程度の作業には耐えるぐらいには手に馴染んできたなと思います。いっぽう、表紙データはInkscapeで作りました。ただ、(これはAdobeのIllustratorでもそうなのですが)、PDFデータにするときにぼかしの設定が消えてしまいます。そこでイラスト部分をいったん画像データに書きだし、再びそれをInkscapeで読み込んで背から裏表紙の部分と合わせるという厄介なことをしました。全部を画像データにすると極端に重くなりすぎるので、こういう継ぎ接ぎをしたわけです。ところが、データ上では同じ色を使っているはずなのに、出力された結果を見ると画像部分の色目が完全に変わってしまいました。このあたり、デザイナーなら正しい処理方法をご存知なのでしょうが、中途半端な知識の編集屋には限界でした。ちょっと悔しいものです。
本文フォントにはIPAP明朝、小見出しにはIPAPゴシックを使いましたが、PDFにしたときにIPAPゴシックでは欧文の文字組が乱れるという問題が発生しました。そこで、欧文には御定まりのArialを代用しています。また、章見出しは「えるまーP」を使いました。配布されておられるえるまーさんに感謝します。
実はこの本、無理に新書判にしたため、割高になってしまいました。新書判は、私にとって初体験です。そういった作者の遊びの要素の多い本ですが、そのあたりは大目に見ていただきたいと思います。
皆様に実際に御手に取っていただければ望外の幸いです。
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